2003/12/29
車中19時間(さとがえる2003冬その1)

今回の帰省も夜行高速バスにした。新宿−枚方の路線はKBバス(関東バス子会社)と京阪バスとの共同運行で、私が乗った宇治号は京阪バスの車両だった。学割往復で13,000円なのが魅力的だ。

冬の夜行バスで持って行ったほうがいいものとして、マスクがある。バスの車内は暖房が効きすぎるくらいで、そのため室内の湿度が下がっている。ノドを痛めないためにマスクがほしい。もうひとつ、遅れが発生したときのために朝食分の食料と飲み物も用意しておきたい。

当日、日本海から寒気が流入して中部地方で雪が降るという天気予報を人から聞いた。関ヶ原あたりで積雪のため徐行運転を余儀なくされることは珍しくないから、「目が覚めたら関ヶ原くらいで、到着まで数時間遅れるかもしれないですね」などと軽く答えていた。ところが現実は関ヶ原どころではなかったのである。

夜中2時過ぎだろうか、軽い眠りから覚めたときに前方で車掌と運転手とが会話しているのが耳に入った。雪と車両火災のために高速道路が通行止めになっているという。再び眠りに落ちる。やがて空が明るくなって目が覚めたとき、バスはまだ岡崎に入っていなかった。カーテンの隙間から外を見ると、雪が降っている。この日、名古屋で初雪を記録したという。

高速道路を通行止めになったとき、そこからどのようにして大阪まで行くかは現場の判断にゆだねられているのだろうか。ともかく京阪バスでは国道22号線に降りることを決断した。京阪バスの運転手は愛知県あたりの一般道の地理に明るくないようで、Uターンしたりウロウロしている。本部と連絡を取り合っていたけれど、共同運行しているKBバスの車両(京都号)とは直接連絡していなかった。車掌は本部あての電話で京都号の現在地と選択した道路とを数回尋ねていた。

運転手と車掌が小声で話し合っていたとおり、国道22号線の選択は裏目に出たようである。渋滞してなかなか進まない。午前9時になっても名古屋市内に到着できない。やがて1人の女性が車掌に申し出て、バスを去っていった。鉄道で帰るのだろう。それからまたしばらくして男性1人もバスを降りた。24人がバスに残っている。

10時すぎ、現況説明のあとで乾パンが配られた。私はパンもお茶も用意していたけれど、この手の準備をしていなかった人たちは空腹だっただろう。しかしお茶は出なかったので、乾パンだけではノドが渇いたことと思われる。私は記憶以来はじめて乾パンを食べた。味はそれほど悪くない。名前からパンを想像したのだが、ビスケットのようだった。

昼になって高速道路への復帰が試みられた。まずは小牧から乗ることを検討したようだったが、着いた小牧は入り口が閉鎖されていた。(着く前に電話で確かめればいいのに……。)そこで進路変更して一宮に向かう。やっとのことで高速に乗ったとき、時計の針は午後2時15分を指していた。(参考地図:マピオン。)

2時45分、岐阜県の養老サービスエリアで初の15分休憩がとられた。さっそく店でおにぎりを買う。空腹のためかおにぎりはおいしかった。非常事態におにぎりが食べられるなんて、日本食はよくできている。その後、公衆電話で実家に連絡を入れる。到着は5時頃になるだろうと私の見込みを伝えた。これは、朝9時に名古屋というときに概算して求めた値だった。

しかしこの見込みは甘かった。実際に枚方市駅に到着したのは午後6時50分。私は23時30分に渋谷から乗ったので、15分休憩を除いて19時間05分の乗車となる。到着予定時刻は午前7時なので11時間50分遅れだ。途中の樟葉駅でいったん社員の方がバス車内を訪れ、謝罪とともにテレホンカードセットを配布していた。

この手のことでは腹が立たない質なので、今回の乗車は貴重な経験としてわりと楽しかった。ちなみに、帰りのバスでは何事もなく朝6時10分に新宿に到着した。

2003/12/28
Mac-on-Linuxのビデオ微調整

Mac-on-Linuxは、Linux/PPC上で他のOSを動かすための実行環境だ。(ポセイドンさんによる概説。)Mac OSやOS Xのパーティションをそのまま利用する点で異なるが、x86の世界におけるVMwareに近い。VMwareとちがってフリーなので、たいていのLinux/PPCには標準配布されている。これは、MacでLinuxを使う利点のひとつだ。

しかしMac-on-Linux(MOL)の日本語による説明はわりと古いものが多い。幸いにしてVine Linux/PPC 2.6の説明書は0.9.65というわりと新しい版の解説なので、まずはこれを熟読する。説明書を読めば起動までは持っていけるはずだ。

ただし、カーネルのバージョンを2.4.20-0vl2.26.1に上げている人は注意を要する。MOLはカーネルモジュールを含むので、バージョンが合致していないと最悪カーネルパニックに陥る。2.4.20用のモジュール(mol-kmods)はVineでは用意されていないから、自前で調達する必要がある。MOL自身の最新版である0.9.68のrpmとkmodsのsrpmとをダウンロードしてインストールすればよい。

話はここから。MOLではビデオの調節としてmolvconfigを使う。ここで調節された設定は/var/lib/mol/fb_modesに書き込まれる。ところがmolvconfigによるビデオ設定は一般的なものしかないので、アナログ接続の液晶ディスプレイを使用していると表示範囲がずれることがある。(もちろんコンソールモードakaフルスクリーンモードの場合である。)このズレをなんとかしたい。

fbsetの意味がわればfb_modesをそのまま書き換えればいい。それが嫌なら/usr/sbin/fbsetして得た適切な値を、/etc/fb.modesに書き加えるとよい。その後molvconfigを実行して、/etc/fb.modesの設定を生かすようにする。

2003/12/23
紙と画面のあいだ

迂闊にもMac OS Xの画面写真を貼り付けてから気が付いたことがある。Mac OS XやWindows XPで採用されているサブピクセルレンダリングを使用した場合、表示された文字の画面写真は「見たまま」にはならない。画面写真はピクセル単位で描画されるからだ。@ITでのClearTypeの説明でもそのことが書かれている。もっとも私はClearTypeが好きではないし、日本語文字列に対する可読性向上の有効性も富士通の調査からいって疑問である。

ところで前にも書いたように、画面と印刷とをとりもつ書体のありかたは漢字Talk 6のころのMacのほうが現在よりもよいと私は思っている。画面書体の割り切りかたが明確だったからだ。

細明朝体と中ゴシック体

日本語PostScript黎明期、印刷に使える和文書体はリュウミンL-KLと中ゴシックBBBしかなかった。印刷時に両者に割り当てられた細明朝体と中ゴシック体とは、ちょうどWindowsにおけるMS明朝とMSゴシックのようなものだ。

刮目すべきは細明朝体のビットマップが明朝っぽくない点である。「あいうえお」だけを見たらゴシック体かと勘違いしてしまうかもしれない。しかし中ゴシック体は上のとおり明確に太いビットマップなので、まちがえる危険はない。このピクセル数でMS明朝とMSゴシックとを表示させたら、両者の区別がつきにくいのではなかろうか。

細明朝体は低ポイントの画面書体で明朝らしくあることを捨てている。MSゴシックは漢数字の一などは長音と区別するために明朝体のウロコを画面書体につけているけれど、低ポイントの細明朝体にはウロコがいっさいなく、ほとんどゴシック体のようである。この割り切りが、印刷と画面とをとりもつ画面書体として好ましかった。

解像度の低い画面上では、一般にゴシック体のほうが見やすく頻繁に用いられる。おそらく多くの人はシステムフォントとしてゴシック系の文字を採用し、メールソフトやWebブラウザーでもゴシック系の文字で表示させているだろう。ところが印刷する段になると、ゴシック体よりも明朝体が一般的に使用される。特にウェイトがW5のMSゴシックは、どちらかというと見出し印刷用の書体である。

画面の見た目はゴシック体、印刷すると明朝体――という性質をもっている細明朝体は、Webブラウザーの指定に適している。Windows版Internet Explorerだと、印刷時にゴシック体から明朝体に変更しなくてはならない。Acrobatで取り込んでもいいけれど、そうするとページ番号が表示されない。

考えられる改善法としては、MS明朝の変造だろうか。ビットマップをゴシック系書体から流用し、メトリックはそのままにしてアウトラインは他社の高品位書体を流用すれば、自分専用の「MS明朝」ができるだろう。いまの環境ではMS明朝は自動的にリュウミンに置換されるから気にしていないが、いつかプリンターが壊れたらそうしようと思っている。


2003/12/19
電子辞書の充実

高校以来使ってきた『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)の表紙が外れたので、新しく第3版を購入する。『プロ和英』はいい字引だが製本の質が悪い。『ジーニアス英和辞典』(大修館)が開きにくいのに対して、こちらは開きかたが過剰だ。300ページあたりを開いただけでパカッと開いてしまう。このため字引を持つ手の付け根部分に負荷がかかる。紙の字引はハードウェアとしての引きやすさも重要だと思うので、2色刷といった印刷面だけでなく製本もしっかりしてもらいたい。もっとも凸版印刷だからこんなものか。さすがに三省堂や研究社など、自前で印刷所を持っているところは製本もしっかりしている。

紙のほうはともかく、電子辞書は個人的にずいぶん環境が変化した。特に、各種辞書をEPWING(CD-ROM電子辞書の標準形式)に変換するソフトウェアを知ったのが大きい。ありがたいのは「システムソフト電子辞典」の辞書をEPWING化するdessedと、COBUILD辞書を変換するRubyスクリプトとの2つだ。前者については高校時代に『MacPower』誌から『リーダーズ英和辞典』を懸賞でいただいていて、Macでずっと死蔵されていた。後者は買ってみたものの専用の検索ソフトが気に入らず削除していた。これらが一挙にWindowsで使えるようになった。クラリスワークスについてきた『大辞林』とあわせてDDWinで使用している。

モバイルギアでも使いたいので、Buckingham EB Player for Windows CEを導入する。開発が停止しているが、現時点で唯一のWindows CE用EPWING再生ソフトだ。天然色を仮定しているのか玉に瑕で、うちの白黒画面では見出し語句が灰色表示され見づらい。バイナリ編集で白黒にできないか画策してみたが、徒労に終わった。それでもCOBUILDがWindows CE機で引けるようになっただけでも嬉しいことだ。

このように、モバイルギアII MC/R320(これも頂き物)を私はまだ現役で使用している。もっぱら字引と日記書きの用途だが、白黒キーボード端末の生き残る道は字引しかないのではないか。ビックカメラ立川店のPDAコーナーで最も広い面積をとっているのは、PDAではなく電子辞書だ。白黒モバイルギアも電子辞書+エディターという路線で売り込んでいけば案外モノに……ならないかしら。

2003/12/15
関東圏はガス料金に恵まれている

冬になるたびに検討してきた暖房器具の問題は、巡り巡ってガスエアコン+スチーム式加湿器に先祖返りした。去年試した「サンルーム」は電気ストーブよりはいいのかもしれないが、ガスにくらべると格段に性能が劣る。そのうえ電気料金は累進制だから、使えば使うほど割高になる。

以前、「好奇心 on the web」で電気料金の全国価格差を調べるページがあった。たしか九州が全般に安いという話だったように記憶している。では、ガス料金は全国でどのように異なるのだろうか。

まず注意しておかなくてはならない点は、都市ガスは文字通り都市にしか供給されていないことだ。大手都市ガスは東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの3社のみで、あとは200社以上の中小都市ガス供給業者がある(日本ガス協会:日本の都市ガス事業者)。さらにLPガスも勘定に加えるとなると、料金をいちいち比較するのは手に余る仕事だ。

さしあたって大手都市ガスで考えよう。ガス料金は電力料金とは逆に使えば使うほど割安になるのだが、各社によって料金は微妙に異なる。以下に記すのは、2003年10-12月期のガス料金である。(ガス料金表:東京ガス大阪ガス東邦ガス。料金表は東京ガスのものが包絡線付きでわかりやすい。)

●東京ガス(東京地区)
        基本料金 立米単価
0〜20      690円 128.84円
20〜80   1,040円 111.34円
80〜200  1,460円 106.09円
200〜500 2,000円 103.39円
500〜800 5,050円  97.29円
800〜    9,610円  91.59円

●大阪ガス
        基本料金 立米単価
0〜20      690円 135.96円
20〜50   1,100円 115.46円
50〜200  1,320円 111.06円
200〜500 3,000円 102.66円
500〜    6,040円  96.58円

●東邦ガス(本社地区)
0〜25      690円 162.06円
25〜250  1,625円 124.66円
250〜500 2,350円 120.50円
500〜    6,950円 112.56円

一瞥しただけで東京ガスの安さがわかるだろうが、念のために100m^3で計算すると、東京・大阪・東邦でそれぞれ12,174円・12,426円・14,091円となる。規模の経済が遺憾なく発揮されているようだ。

規模の経済が生かせない中小となると、値段はもっと高い。たとえは北部九州にガスを供給している西部ガスの料金表は、

●西部ガス
        基本料金 立米単価
0〜15      830円 192.43円
15〜30   1,040円 178.40円
30〜100  1,460円 164.40円
100〜    1,710円 161.90円

となっている。100m^3だと17,900円で、東京の5割増である。もうひとつ見逃せないのが低使用量(夏場)の場合の料金で、東邦ガスや西部ガスは夏場に高い。我が家は夏期になるとガス代が2000円を下回るが、西部ガスでは実現しにくかろう。

『今日の必ずトクする一言』「石油ファンヒーター大研究(その1)」に、以下のくだりがある。

石油ファンヒーターのカタログを見ると、1000kcalあたりで石油5円、都市ガス11.45円、電気26.74円と書いてある。石油と電気(電熱)に関しては、実際の計算とほぼ合う。しかし都市ガス11.45円というのが計算に合わない。ガス契約は電気と違い逆累進的に安くなるが、1立米あたり90円ほどである。熱量は4500kcal/立米なので、1000kcalあたり20円とかなり高い。LPガスが1000Kcalあたり22.1円なので、福岡のガス料金はLPガス並に高い。ヒートポンプが30/1.3=23円であるので、ガスとエアコンは殆ど同じコストになるが、これは福岡の人も殆ど気付いていないと思う。

都市ガス料金が計算に合わないのは実際に計算間違いをしているから(都市ガスの熱量は13A区域で11,000kcal/m^3)だと思っていたのだが、現実に九州のガス料金は高いのだった。東京ガスだと1000kcalあたり11.07円となり、上の計算にほぼ合う。

もちろんガスは灯油にくらべれば2倍以上の費用がかかるし、諸外国よりはずっと高い。しかし国内にかぎって言えば、東京に住んでいるならガスを使わない手はない。ガスエアコンを備え付けておいてくれた大家さんの思し召しに感謝しなくてはならない。

ガスエアコンが大仰だという向きにはガスファンヒーターがお奨めだ。ちょっとおもしろいと思っているのはパロマのハイブリッドファンストーブで、発電機を兼ねているためファンヒーターなのに電源コードがないという画期的な製品である。こういう特殊なものをのぞけば単機能のものがよい。低価格機でも高級機でも、燃焼部分にちがいはないからだ。

2003/12/13
太ゴをMSゴシックの代替書体として出力する(部分解決編)

Windows 2000のAdobe PSプリンタードライバーの書体代替機能の話は、過去3年に何度か書いてきた。詳しくは

にあるとおり、Windows 2000/XPのAdobe PSドライバーでは、MSゴシックをBold以上のウェイト名称をもつ書体で置換することができない。MSゴシックはおよそW5程度の太さなのに対し標準置換候補の中ゴシックBBBはW3程度のため、ゴシック体が細くなってしまい明朝体と見分けがつきにくくなる。モリサワ基本5書体をもっているならMSゴシックは太ゴで置き換えたいところだが、上述の制約のためにそれが行なえなかった。

きのう散歩しているとき、突如として解決策が思い浮かぶ。モリサワ書体のかわりに平成書体を搭載している安物PSプリンターでは、平成明朝をリュウミンに見せかけているのだろう。この機構を使えばよい。すなわち、太ゴを平成角ゴシックW5に見せかけて、Adobe PSプリンターでは代替書体に平成角ゴを指定すればよいのだ。気分としては「ln -s 太ゴ 平成角ゴ」というような感じである。

家に帰ったらさっそく試してみよう――と散歩中はご機嫌だったのに、西友で買い物をしているうちに上の内容を完全に忘れてしまい、「いいことを思いついた」ということしか頭に残っていなかった。しばらく悔しい思いをしていたところ、きょうになって内容を思い出した。本棚から『PostScript詳細解説』(1997年、CQ出版)を引っ張り出して以下のようなPSファイルを作成する。

%!PS-Adobe-2.0
/fd (fonts/HeiseiKakuGo-W5-RKSJ-H) (w) file def
/buff 512 string def
{
    currentfile buff readstring {
        fd exch writestring
    }{
        dup length 0 gt {
            fd exch writestring
        }{
            pop
        } ifelse
            fd closefile
            exit
        } ifelse
} bind loop

/BaseFontDict /FutoGoB101-Bold-RKSJ-H findfont def
/NumEntries BaseFontDict maxlength 5 add def
/HeiseiKakuGoFontDict NumEntries dict def
BaseFontDict {
    exch dup /FID ne {
        exch HeiseiKakuGoFontDict 3 1 roll put
    }{
        pop pop
    } ifelse
} forall

HeiseiKakuGoFontDict /FontName /HeiseikakuGo-W5-RKSJ-H put
/HeiseiKakuGo-W5-RKSJ-H HeiseiKakuGoFontDict definefont pop

このファイルをプリンターにダウンロードし、コンポジットフォントとして「HeiseiKakuGo-W5-RKSJ-H」が登録されていることを確認する。次にc:\winnt\system32\spool\drivers\w32x86\3\APLWGRJ1.PPDに以下の行を追加する。

*Font HeiseiKakuGo-W5-RKSJ-H: RKSJ "(000.000)" Adobe-Japan1-2 Disk

それから「Apple LaserWriter 16/600 PS-J」のプロパティを開いて「デバイスの設定」タブで「フォント代替表」を展開しても――「平成角ゴシックW5」が出てこないではないか。

しばらくアタフタしたのち気づいたことに、83pvまたは90msもPPDファイルに書いておかなくてはならないようだ。90msはないから、気が引けるものの83pv-RKSJ-Hについても偽装を行なってPPDファイルに記述する。(躊躇したのは83pvだと欧文文字幅が平成角ゴと太ゴとで異なるから。)そうして代替表を見る。今度は「平成角ゴシックW5」が出てきたので選択。

Windowsのフォント代替表

いよいよ試験だ。MS Wordを起動してMSゴシックで数文字打ち、印刷する。出てきた紙を見る。このダサい文字、まさに太ゴではないか。2年ちょっとかかって、ようやく懸案が解決できた。ドライバーが修繕されないあいだは、この方法で対処するのがよさそうだ。ただし、この方法はOCF書体でしか使えない。

各種ゴシック体比較

2003/12/11
派兵する危険

米国との関係が一時冷却したとしても、温めなおす機会は頻繁にあるだろう。50年を超える同盟関係とGDP1位・2位の経済関係とは、1回の派兵云々で綻びるものではない。ブッシュ大統領が再選されるかどうかもわからないし、小泉首相とてあと何年官邸に座っているか定かではない。いま米国と仲よくしたところで、数年後には元に戻ってしまうだろう。

しかしアラブ世界との関係は話が違う。彼の世界では我々が不思議に思うほど日本の評判は悪くないのだが、これはイメージ先行のものだ。現実を伴わない分、悪くなるときに極端に振れる恐れがある。対日感情の急激な悪化が誘発する民間邦人相手のテロの危険性を考慮に入れれば、今度の派兵決定は賢明な選択とは思えない。


2003/12/10
do_brk()の修正

Debianのホームページが改竄されたことによって先月下旬に発覚したカーネルの脆弱性は、わりと重大なものであるという。(セキュリティホールmemo参照。)Vine Linux/PPCでも12月5日に修正済みのカーネルが公開された。

ところが修正済みバージョンは2.4.22-0vl2.9で、それまでの2.4.20-0vl2.26.1から大きく変わっている。2.6r3の発表直前ということで、カーネルだけr3のものを先行公開したようだ。しかしながら困ったことに、私のACARD 6280Mでは2.4.21以上のカーネルでlost interruptが発生する。(2003/11/19の記事参照。)安定志向を謳うならセキュリティパッチと機能追加とは分けてほしいところだが、師走でみんな忙しいのだろう。

2.4.20のカーネルにパッチをあてることを検討するが、見つからない。しかるにYellow Dog Linuxを見るとVersion 3.0が2.4.20台で、12/3に修正カーネルが出ているではないか。修正済みであるlinux-2.4.20-8eと古いlinux-2.4.20-8dとのソースをもらってきてdiffするに、私の目にはmm/mmap.cくらいにしか違いがわからない。ソース検索にかけてみると、do_brkでたしかにmmap.cが出てくる

どうやら必要な修正はmm/mmap.cの1047行目に

	if ((addr + len) > TASK_SIZE || (addr + len) < addr)
		return -EINVAL;

を加えるだけのようだ。(この欠陥が事前に修正されている2.4.23のmmap.cを見ても、修正点はこれと他1カ所だった。)このていどの労なら厭うこともないので、そのまま書き加えてmakeした。必要な人がいるとも思えないが、YDL linux-2.4.20-8eからとってきたmmap.cを置いておく。このファイルをVine/PPC 2.6r2のものと入れ替えてmakeできる。

……などと書いていたら、Debian PowerPC Mailing Listに該当するスレッドが見つかる。

2003/12/8
戦艦大和搭乗記/武蔵小金井の古本屋

このまえ用事で武蔵小金井に行ったときのこと、ある人から駅前の古本屋に同行しないかと誘われた。わりとよい本があるという。なるほど、木造でみすぼらしい外見とは裏腹に理工書が充実している。その日は財布を忘れて小銭入れしかもっていなかったので、私の趣味は措いて買い物につきあうことにした。

その方は軍事方面に明るく、私にはさっぱりわからない軍事関係の雑誌に寄稿している。特に造詣が深いのは旧ドイツ軍についてで、数日前の日記にMac OS Xの愛称がドイツ軍の戦車みたいだと書いたのは単にその人の受け売りである。私がぼーっと見ているうちに数冊の書籍を選んで購入されていた。

喫茶店でそのうちの1冊を見せてもらう。黒田吉郎『大日本帝国海軍 連合艦隊――我れ、大和より生還す』(1981年、勁文社)という本。私には軍関係の知識はまったくないので先の方の受け売り書くと、戦艦大和の大砲は世界最大で、当時中佐・砲術長として大和に乗船していたこの方は砲術部門としては最高位であるという。

それだけでは別に興味を抱かないのだが、呉から沖縄に向かう途中で撃沈された菊水一号作戦に携わり、沈没する瞬間まで乗船していたと聞くと話が変わってくる。ここまでの生存の極限状態は滅多に味わえるものではないだろう。先様がピザを食べているあいだに本を拝借して、パラパラと読み進めていった。

沈没を目前としてているわりに余裕がある。部下と冗談を言い合ったり、郷里の歌を歌わせている。この余裕は、すでに死を覚悟しているからなのかもしれない。しかし沈没するときの命令は「大和と一緒に死ね」というのではなく「生きろ」というもので、精神論が出てこない。実際著者自身は海へ放り出されて意識を失ったのち、重油まみれの海の中でかろうじて流木に捕まり九死に一生を得ている。抑制された筆致はなかなかよかった。

ほんこのあいだ、吉祥寺からの帰りに再びその書店に寄ってみた。こんどは一人だったので好きにに本を眺めることができる。それで改めて気づいたのだが、この本屋は理工書の中でも数学・物理に特化していて化学・生物はほとんどない。経済もない。コンピューター書籍もノウハウ本のみならずアルゴリズムや回路設計や計算機科学が並べられている。吉永徹美『LaTeX2eマクロ&クラスプログラミング実戦解説』(2003年、技術評論社)まであるではないか。帯付きで2000円だったので、思わず買ってしまう。

なぜ武蔵小金井のような場末の町に充実した理工書を扱う古本屋があるのか。しかも分野がえらく偏っているのか。不思議に思ったのでまた別の人に話をしたら、農工大が近くにあるからではないか、とのことだった。

2003/12/5
用語統一と検索エンジン

「Vine Linux」は空白を入れて記すのが正しいようだ。本家のホームページではそうなっている。これまで私は「VineLinux」と詰めて書くことが多かった。また、Appleのハードウェアページによれば「PowerMac」ではなく「Power Mac」と記すのが正しいようだ。こちらも私はずっと一語で「PowerMac」と書いてきた。ちなみに「PowerBook」は「PowerBook」であって「Power Book」ではない。

一語にするか二語にするかの使い分けは、うしろの単語が固有名詞であるかどうかにかかっているように見える。MacやLinuxは商標だから二語にしてもよい。しかしbookは一般名詞なので、PowerBookと一単語にする必要がある。ちょうど黒板をblackboardなどとするのと同じことだ。日本語でも「黒板」と「黒い板」とでは意味がちがってこよう。ThinkPadも、padが一般名詞なので一語にする。以上、口から出まかせで書いてみたが、こんな理解でいいのだろうか。

反論。「Mac OS」はどうか。OSは一般名詞なのに「MacOS」とせず二語で「Mac OS」としているのはなぜか。これはたぶん、Macintosh Operating Systemの略として「Mac OS」があるからだろう。つまりOSが略語だからではないか。もっとも、二語のものを一語にするのにはさほど違和感を感じないので、「MacOS」と表記する人もわりといるのではなかろうか。「FreeBSD」などのBSD系OSは名前を一単語にしている。「Paint Shop Pro」は……なぜ分けるのかわからない。

本題。ちょっと悩むのは、検索を考慮に入れた場合だ。たとえば「VineLinux」で検索して「Vine Linux」が出るか。Googleは被リンクによって――すなわち本家は「Vine Linux」と表記していても「VineLinux」の名前でリンクされることによって――「VineLinux」でも出てくるだろう。しかし個人ページだと出てこないだろうし、Namazuでも出ない。このあたりは自動的に「/Vine ?Linux/」となってどちらも見つけてくれたほうが便利だ。しかし現状でそれは望めないから、用語統一せずに2通りで書いておくのが最もよさそうである。

2003/12/4
フォームのふりがな

通販などの会員登録で個人属性を入力するとき、「ふりがな」欄でカタカナを要求するページがあるのはなぜだろう。入力する側の手間として、カタカナモードにするかカタカナ変換するかしなくてはならない。初心者の方など、誤って半角カタカナにしてしまうかもしれない。逆に受け付け側にとってカタカナにする利点が何かあるだろうか。帳票などでカタカナが必要なら、スクリプト1行で変換できるだろう。全角・半角にしても同じことだ。

そのほか、フォームを作るときにはいくつかのポイントがある。たとえば確認用にメール欄を2つ作ってあるページがある。しかしこの方法だと、最初の欄で誤って入力したメールアドレスを確認欄にコピー&ペーストしてしまうかもしれない。これを防ぐには、確認欄では@の前後で入力枠を分割するとよい。また、JavaScriptを使ってIEの日本語入力モードを制御するのも有効だ。メールアドレスを全角で打つといった間違いを犯す初心者のほとんど全員はIEを使用しているから、これであるていど誤りを削減できる。それでも、ピリオドのかわりにコンマを使ってくる大物もいて如何ともしがたいのだが。

2003/12/3
たまたま発見した傾向

自分を述べるときに自らの苗字で表現する男性は幼児的傾向を示すように見受けられる。小泉首相(「小泉の構造改革は……」)とか。

2003/12/1
Mac OS X 10.3はUDFのDVD-RAMを書き込めない

私も少し関わっているウェブサイトのアクセスログを眺めてみると、興味深いことがわかる。以下に記すのは、今年に入ってからの3カ月おきのOS占有率だ。ただしMacは占有率が小さすぎて推移がわかりにくいので、当月の実数を丸めたものを同時に掲載しておく。

       0301 0304 0307 0310
---------------------------
Win95    5%   3%   2%   2%
Win98   33%  26%  24%  20%
WinMe    9%  12%  11%  10%
WinNT   15%   2%   2%   2%
Win2K   12%  17%  18%  18%
WinXP   18%  32%  35%  40%
McOSX    0%   0%   0%   0%
McPPC    3%   3%   2%   3%

McOSX   400  530  750 1170
McPPC  7000 5800 5120 6070

1月から4月になって、トップシェアの座はWindows 98からXPへと一挙に移った。おそらく年度更新に伴ってXPが導入されたのだろう。XPはその後も着実に数字を伸ばしている。逆に98は速いペースで減少している。もうひとつ、NTから2000/XPへ更新する流れもあるようだ。

Macのほうでは、3年間鳴かず飛ばずだったMac OS Xがアクセス数を増やしはじめている。先月はついに4桁に乗った。表には入れていないが、11月には1400まで数字を伸ばしている。Windows 95の減少傾向を考えると、近いうちにWindows 95のアクセス数を追い越すだろう。ブラウザーにSafariを使ってページを閲覧する人も出てきた。

そんなわけで、Mac OS X 10.3(愛称Panther)に興味がわいてきた。OS Xの導入を考えた大きな理由のひとつとして、Linuxでkernelをmakeするのに疲れてきたことがある。家で使うパソコンは気楽なほうがいい。さらに、DVD-RAMマルチドライブをMac OSで使うためのライティングソフトよりもMac OS Xの学割版のほうが安い(8500円)ことも購入を後押しした。学割版のMac OS Xは特価だと掛け値なしに思う。注文はWebからは行なえず、学生証の控えとともにFAXで注文書を送信しなければならない。

もうひとつ購入を急いだ理由として、Mac OS X 10.3は私のMacでサポートされる最後のOSかもしれないと危惧したこともある。プーマとかパンサーとか旧ドイツ軍の戦車のような愛称をもつアップルのOSは、版を重ねるごとに古いMacを動作対象外としてきた。そしてPantherにおいて、私の機械はシステム条件の最底辺に位置している。PowerMac G4/PCIはMPUこそG4だが、基盤はむしろB&W G3に近い。悲しいことに、純正のSystem ProfilerですらPowerMac G3と表示される。

System Profilerの画面写真

アップルストアはさすがというか、24時間受付のはずのFAXが朝方かけると受け付けていなかったり、受注確認のメールをUTF-8で送ってきたり、配送ラベルに「様」がなくて名前の書き捨てだったり、しかも名前の漢字がまちがっていたりして、なかなか微笑ましい。だいたい「慎太」なんて名前はことえり4の変換辞書にも登録されていないではないか。

Pantherのインストールは快適に進んだ。Linuxの/home用区画を/以下に統合して空けておき、そこにインストールする。そのあとでxybinの設定をすれば、Linux/Mac OS/Mac OS Xのトリプルブート環境が出来上がる。B&W G3/G4-PCIだとLinuxでは内蔵スピーカーから音が出ないので、Mac OS Xで音が出るのは嬉しい。iTunesで西田佐知子を聞きながら作業できる。

次にMac OS X Ext2 Filesystemを試す。これでext2区画をマウントして/etc/smb.confを適切に編集すれば、Linuxで起動したときとまったく同じ設定のままWindowsから必要な区画にアクセスできる。若干の問題は日本語ファイル名で、SambaのコーディングシステムをEUC-JPかUTF-8(Mac)かに統一する必要がある。この点は、今後どちらをメインで使っていくかをふまえて決めたい。ともかく、ここまでは順調だった。

いよいよ本題たるDVD-RAMドライブの認識を試す。System Profilerでは下の画面写真のごとく表示され、正しく認識されているようすがうかがえる。FinderやiTunesからCD-Rを焼くことはできないようだが、そんなことはしないので支障ない。よしんば必要に迫られても、内蔵DVD/CD-Rコンボドライブのほうで対応しているから安心だ。

DVD-RAMの認識状況

そしてUDFフォーマットされたDVD-RAMメディアを挿入する。表示された。読み込みもOK。書き込みは……できない。目をこらすと、Finderの左下に書き込み禁止マークが表示されている。メディアに書き込み禁止タブでもあったのかと思って取り出して眺めても、そんなものはない。

Tech Info Library 106610JNの記述やMac OS X メーリングリスト #16958などを見ると、Mac OS X 10.3ではDVD-RAMメディアへのUDF書き込みはできないように書かれている。私自身はできて当然だと思っていて調べもしなかったので、痛いことになってしまった。

不思議なこともある。Mac OS X 10.2のTechNote #2053には、Mac OS X 10.2で「UDF now supports read/write access to UDF formatted DVD-RAM disks.」と書かれている。この記述を読んだらMac OS X 10.3でもDVD-RAMドライブにおいてUDF書き込みができそうなものだが、いつのまにか退歩したのだろうか。それとも純正のDVD-RAMドライブには書き込めるのだろうか。

DVD-RAMでのUDF書き込みができないとなると、事前に考えていた最大の利点が消える。Linux区画を消しておかないでよかった。あと3年もたたないうちにMac OS X/LinuxのいずれかでUDF書き込みはできるようになるだろうから、それまではトリプルブート環境を維持することにした。

追記031203。Mac OS XのFinderで、フォルダーに含まれる項目数を表示する機能は便利だ。9年ほど前にも同種のフリーソフトウェアがあったが、PowerPCへの移行とともに使用を停止していた。Exposéもいい。ApplWindowsから10年を経て、ようやくMac OS Xらしい画面切り替えを見た。私は、マウスのスクロールボタンをクリックするとExposéするようにしている。全体的な操作感は悪くないから、SXGAクラスの広い画面があればPantherは快適に使えるだろう。iMacの幅広17型あたりが最も似つかわしく思える。

Finderは練り足りない。現状ではiTunesのほうが扱いやすいくらいで、Windowsのエクスプローラに劣っている。ここは外分を捨て、Windowsと同じくツリーによる図示を採用したほうがよいのではないか。