2003/3/30
文系大学の数学教育事情

最近、電車の中で好んで読んでいるのは一石賢『道具としての物理数学』(2002年、日本実業出版社)という本だ。長沼伸一郎『物理数学の直観的方法』(1987年、通商産業研究社)を一段やさしくし、内容を広範囲にしている。被っている部分の記述は長沼(1987)に劣るが、第6章「特殊関数」や第7章「解析力学」はためになった。

こうした本のありがたみは、定理の舞台裏というか元の発想を垣間見せてくれる点にある。もちろん、正統的な教科書には定理に対する厳密な証明が記されている。しかし、その証明に誤りがないことを理解して定理を承認することと、その定理に対して納得することとは別問題だ。どこからそんなものを持ってきたのか、という腑に落ちない感覚が残ることは珍しくない。

これらの解説は、大学では講義や演習においてなされる。実際、経済学や統計学の講義では、コツや考えかたの部分は教科書ではなく講義から――それも板書ではなく教官のしゃべった部分から得るところが多かった。理論を独学するときには、そのあたりを自力で見つけなければいけない。正統的な教科書には書かれていないので、たいへんな努力を要する。

しかし、経済学・統計学の講義で考えかたが語られるのは、あくまで経済学・統計学にとって本質的なところである。特に経済学で物理学の成果を流用するときには、成果自身については不問とされる。これらは数学の講義で学んだタテマエになっているからだ。

ところが現実には文系大学でそんな講義があるわけがなく、実際には暗記してやりすごすか、匙を投げるかする。むかし動学最適化を習ったときに、突如出てくるEuler方程式を理解せぬまま暗記した(そして試験終了後にすぐ忘れた)のだが、上の本を読んでようやく解析力学からの流用だったことを知った。

2003/3/28
中国・大連の数学教育事情

Iさんは、とあるNPO組織で外国からきた中学生の学習支援を行なっている。そのIさんを通じて、中国・大連から日本へ移住してきた中学生を知った。話によれば学校は朝8時から夕方7時ごろまであるという。授業は厳しく、それにくらべると日本の学校は天国、とのこと。

英語や数学に関しては、支援はまったく必要なかったようだ。それどころか、中学校の数学くらいは何とかなると思っていたIさんの見込みははずれ、日本では高校数IIIで学習する無限等比級数について質問を受けるなど、けっこう困ったそうである。詳しいカリキュラムは知らないが、中2の段階で三角比は学習していたそうだ。

2003/3/25
TeXとMath Spacing Table

むかし話題にしたことに、TeXの「コンマと二項演算子」があった。画像を再掲すると、以下のようなものだ。標準では左のようになるのだが、二項演算子をもう少し詰め、コンマのあとをもう少し空けるのが私の好みだ。そのようにしたのが右の画像である。

二項演算子を詰めるのは、\medmuskipを小さくすることで対処していた。同じように\thinmuskipを大きくすればコンマのあとも空くのだが、\thinmuskipが入る記号はコンマにかぎらないので、痛い目に遭う。やむを得ず、\,\;として手動で空白を入れていた。

『TeXbook』のp.170や『TeX by Topic』のp.211には、数式用のグルーが以下のような表(Math Spacing Table)で定義されているとある。コンマはPunctに分類されているので、多くの場合に(1)の条件付き\thinmuskipが入るようになっている。この表の定義を変更することはできないのだろうか。

           Ord  Op  Bin  Rel Open Close Punt Inner
0: Ord      0   1   (2)  (3)   0    0     0   (1)
1: Op       1   1    -   (3)   0    0     0   (1)
2: Bin     (2) (2)   -    -   (2)   -     -   (2)
3: Rel     (3) (3)   -    0   (2)   -     -   (2)
4: Open     0   0    -    0    0    0     0    0
5: Close    0   1   (2)  (3)   0    0     0   (1)
6: Punct   (1) (1)   -   (1)  (1)  (1)   (1)  (1)
   Inner   (1)  1   (2)  (3)  (1)   0    (1)  (1)

Googleをあたったりplain.texを見たりしても該当個所が見あたらないので、奥村先生の掲示板で質問すると、${TEXMFDIR}/web2c/*.poolに記述があると狩野宏樹さんから教えていただいた。変更してフォーマットファイルを作り直すと、なるほど空きが変更される。この表をいじる命令はないみたいなので、直接*.poolを触る必要があるようだ。

フォーマットファイルを変更すると他の文書にも影響が出るので、結局Virtual Fontでコンマの幅を広げて対処することにした。どうせだから、cmmiのコンマだけを変更したVirtual Font群(dmmi)を置いておく。私は、プリアンブルで以下のようにして使っている。

\DeclareFontFamily{OML}{dmm}{\skewchar\font127 }
\DeclareFontShape{OML}{dmm}{m}{it}{%
    <5><6><7><8><9>gen*dmmi%
    <10><10.95>dmmi10%
    <12><14.4><17.28><20.74><24.88>dmmi12%
}{}
\DeclareSymbolFont{dmm}{OML}{dmm}{m}{it}
\DeclareMathSymbol{,}{\mathpunct}{dmm}{"3B}
\medmuskip  = 2mu plus 1mu minus 2mu

自分用の覚え書きに、デフォルトのmuskipを書いておく。

\thinmuskip = 3mu
\medmuskip = 4mu plus 2mu minus 4mu
\thickmuskip = 5mu plus 5mu

2003/3/25
TeXと分数線の上下

TeXの\frac命令で作られる分数は分数線が短く、分子が上につきすぎる、という指摘は何件か見てきたことがある。たとえば-\frac{1}{2}などの素朴な分数で、それがよく表われる。このときの分数線は−記号よりも短いので、違和感を覚える人がいるだろう。また、1が上につきすぎるのではないか。

これは単なる慣習の問題なので、気にならなければ気にする必要はまったくない。しかし気にする人もあって、たとえば大熊氏のemathで定義されている方法では、分数線を若干(\,2つぶん)伸ばし、分子を箱で囲んで下げている。このとき、先ほどの-(1/2)は次のようになる。日本の算数・数学教科書になじんだ私などは、こちらのほうが見ていて安心する。

\fracを擁護しておくと、これはベースラインを分母・分子でそろえているのだ。pやyといった文字、あるいは括弧類はベースラインから下に突き出す格好になる。だから、\fracは数字向きというより文字向きに設計されているのだ。以下の数式を見てみよう。分子を下げた右のほうは、sin xが下につきすぎているように感じられるかもしれない。

上の例よりも問題が大きくなるのは、複数の分数を混ぜた場合だ。下の図のうち、分子を下げた下側の数式を見てみよう。左側の分数の分子は下げられるので下に詰まっているが、右側は括弧のせいで下げることができない。それで、左と右とで分子の高さがバラバラになっているのがわかる。

根本的な解決にはかなりの手間がかかる。しかし一時的には、\mathstrut命令を使って高さを揃えてやればよい。

2003/3/21
ThinkPad T30のキーボードに感激する

少し前に、IBMのThinkPad T30というA4ファイルサイズのノートPCをセットアップする機会があった。そこで、T30のキータッチに感激する。Rシリーズや旧Aシリーズとは明らかに異なる素晴らしいタッチだ。Rシリーズだって業界の水準よりは上であると私は思うが、Tシリーズのタッチは群を抜いている。

かつて好きだった日立のノートPCだが、最近のものはシャープみたいなキータッチになってしまい、もはや購入対象とすることができなくなった。最近は12.1インチXGAでは見づらく感じることがあるので、つぎはTシリーズにしたい。


2003/3/16
何ゆうねん

寝ていても、周囲の音が何となく耳に入ってきて、それが夢に混入することがある。きのうの夢では、中年男性が「何ゆうねん」と繰り返し唱えているのを目撃していて、不審に思っているところで目が覚めた。音は自分の鼻息だった。

散髪に行っているとき、NHKの「バラエティ生活笑百科」がかかっていた。仁鶴さんも上沼恵美子もまだいたのか。もうひとりの相談員は辻本(吉本新喜劇)に変わっていた。弁護士の三瀬さんも健在で、白髪がずいぶん増えていた。上沼恵美子のホラ話に笑う。夢で大阪弁が出てきたのは、おそらくこのせいだろう。


2003/3/10
UMAX Apus 2000/160を冷却する

妹からの電話によれば、このところApus 2000/160(UMAXによるMac互換機)の調子が悪いという。ひどいときには1日に32回フリーズして、使い物にならないとのこと。詳しい事情を聞くと、L2キャッシュが有効になったときのアイコンを表示させる時点でフリーズするそうなので、CPUが熱暴走を起こしている可能性がある。

UMAX Apus 2000は、私がこよなく愛するMac互換機だ。LC 630に匹敵する小さな筐体、それでいてPCIスロットを2本もち、CPU部分にはPentiumと同じくSocket 5が採用されている。CPUは、Mactell社の「PowerJolt G3 G-Max 280/1M」に載せかえてある。ビデオカードにはRevolution IVをつけ、もう1本のスロットには10MbpsのLANカードをつけていた。

PowerJolt G3 G-Maxに使われているCPU「PowerPC 750」の製造元はIBMではなくモトローラなので、けっこう熱をもつ。起動時に36℃だったのが、負荷をかけると70℃近くまでCPU温度が上昇する。ヒートシンクも直径50mmの丸いもので、CPUファンはない。それでも順調に動いていた。

ところが先だって、SUGOIカードに端を発したIEEE 1394/USB 2.0/100Base-TXコンボカードの亜種である「PTI-230C(旧名称:すばらしいカード)」をLANカードのかわりに装備した。その場では少なくともLANの部分は正常に動いていたようだったが、PTI-230Cは10Mbps LANカードより大きい。ApusのロジックボードであるTyphoonの構造はCPUヒートシンクのすぐ上にPCIカードが重なるようになっているから、今までよりも熱がこもるようになったのだろう。

やむを得ずファンによる空冷を検討する。Tyhpoonのライザーカードにはファン端子が用意されているので、それを利用したい。末広町のカスタムでファンの品定めをし、山洋のMC-42に決定。熱伝導シールがヒートシンクに密着せず、力がかかると外れてしまうのだが、時間がなかったので等閑に付す。すぐ上をFDDケーブルが通り、かなり込み入った状態だ。

ファンの威力は大きい。負荷をかけても48℃で安定する。憂慮していた騒音も、ハードディスクやケースファンより小さいくらいで気にならない。これでも不安定だったら熱以外の要因を検討しなくてはならないが、ファンはそのままにしておきたい。

追記20030311。ひょっとしたら、PTI-230Cのために熱がこもるようになったのは、CPUよりむしろRevolution IVのほうが大きいかもしれない。こちらはヒートシンクすら載っていないので、hideaki氏のページに従って30mm角のものを取り付けた。いまのところ、順調に動作しているそうだ。

2003/3/7
アナアナ変更と携帯ラジオ

地上波デジタル放送が開始されたとき、従来のアナログ放送と周波数が重なってしまう地域が発生する。このままだとアナログ放送が見られなくなるので、アナログ放送側の周波数を移すことによって電波干渉を防ぐそうだ。このアナアナ変更にかかる費用は向こうもちだという。(参照:小寺信良「大丈夫か、デジタル放送」。)多摩中継局のアナログチャンネル新旧対照表を見ると、東京都西部に位置する我が家もアナアナ変更対象地域に入っていることがわかる。

うちは電波障害区域でテレビはほとんど映らない。ただし、TV音声(1ch-12ch)が聞けるCDラジカセや携帯ラジオは持っていて、それでときどきTVを聞くことがある。ここから先が疑問なのだが、地上波デジタル放送がはじまったら、これらの機器でTV音声を聞くことはできなくなるのだろうか。先の対照表によれば現行でもNHK総合が30chになっているそうだが、もちろん携帯ラジオにそんなチャンネルはない。ということは、音声くらいなら東京タワーからの電波で十分に受信可能なのだろうか。

2003/3/2
埋もれかけるポイント

三井住友VISAカードにはワールドプレゼントなるものがあって、原則1000円で1ポイント加算されるポイントを集めると景品と交換してもらえる。何年か前にマグカップと交換してから放置していたことに気づき、品定めのために景品一覧を見てみた。

そこで、ポイント移行サービスが目に飛び込む。VISAカードで集めたポイントを、他社のカードに移行できるという。移行先の会社一覧には全日空(マイレージ)のほか、家電販売店の上新電機やらビックカメラやらが含まれている。ビックカメラのポイントにできるのは好都合だ。

VISAカード、ワールドプレゼントの景品

もう少し視線を下にずらすと、アット・ニフティポイントというものがある。@nifty会員なのに、私自身は「アット・ニフティポイント」を知らなかった。いつのまにか1000ポイント以上貯まっていて、3年の有効期限が切れかかっている分もある。1000ポイントで使用権1100円分と交換できるというので、その場で交換しておいた。

VISAカードでの1ポイントはアット・ニフティポイントの5ポイントに換算される。約0.5%の割引きにしかならないけれど、@nifty利用料ひと月分が浮いたのでよしとしよう。