2001/1/31
「0000」を使おう

月ごとにフォルダーを作って、書類はそこに保管している。ふだん使っている計算機なら、d:\fl-homeがホームディレクトリで、その中に月別のフォルダーが入っている。

ところで、ある種の応用ソフトは直近に使用したディレクトリを記憶している。このばあい面倒なのは、月が変わったときだ。1月までなら「200101」というフォルダーが記憶されていて便利だったのだが、2月になると保存先を「200102」に変えなくてはいけなくなる。手動で作業ディレクトリを指示するソフトだと毎月設定をいじる必要があり、ますます面倒くさい。

この問題に対処するための画期的な方法を、野口悠紀雄Onlineに掲載されていた読者投稿で見つけ、以来そうしている。すなわち、当月のフォルダー名は常に「0000」とせよというのだ。上記の問題が解決するばかりではない。たとえば控えをとるときにも、d:\fl-home\0000をコピーするようなバッチファイルを作っておけばよい。

参考までに、私の計算機のディレクトリ構成を示しておく。「0000」が当月、「1111」以下が過去のファイル、「2222」は他人が作成したファイルを保管するフォルダーである。

2001/1/30
民度の問題だろうか

伊藤元重『市場主義』(日経ビジネス人文庫、2000年)の内容を簡単に言えば、もっと市場を活用して競争を促せということに尽きる。この点に関してはあまり異存がないが、規制と民度との関係に触れている部分(p.134〜p.138)で気になる主張が見られた。

規制改革の裏には、必ず民度の問題がある。……中略……なぜ大蔵省が酒の免許をもっと自由にしないのか。これは本音で言っているとは思われないが、「酒は青少年が飲んだら困る。だから、酒屋だけに任せればいい」などというばかな議論をしている。

私は、この議論がそれほどバカだとは思わない。まず、酒は他の商品と違って依存性がある。市場の参加者が合理的であることが近代経済学の前提だが、酒はその前提を危うくするものだ。また、酒の与える害は成年より青少年に対するほうが大きい。したがって、そうした商品(酒・煙草)の販売を強く規制するという考えは誤ってはいないのではないだろうか。少なくとも、民度云々の問題ではない。

2001/1/29
プレゼンづいた日

24日に行なったプレゼンは、幸いなことに好評を博した。プロジェクターが使えたものの発表時間が4分と制限されていたので、スライド数を5枚に抑え、細かい文字はいっさい入れなかった。プレゼンでは、あれこれ言おうとしてどの話題も中途半端になることが失敗原因のひとつとしてある。実際、PowerPointでアホみたいにスライド数・文字数を増やしてコケているところもあった。

今回は、PowerPointを使っていない。Office 2000はよく知らないが、PowerPoint 97は文字の輪郭がなめらかにならず美しくない。かわりに使ったCanvas 7は、文字は美しいものの使い勝手が優れているとは言いがたい。もっと便利かつ見た目が美しいプレゼン用ソフトはないだろうか。

2001/1/28
がんばれ海馬

池谷裕二『記憶力を強くする――最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』(講談社ブルーバックス、2001年)を読む。著者は1970年生まれと若い。読者の巻き込みかたは上手だ。シナプスが活発化して神経伝達物質の伝達効率が上昇するLPT(長期増強)という現象の話はほとんど知らなかったので、勉強になった。ちなみに池谷研究室では、LPTを劇的に上昇させる物質K90を発見したそうだ。ただし、この物質は脳に直接注射する必要があり、まだ人体には応用できない。

第6章を中核として、第5章、第7章にも「記憶力をいかに高めるか」という話題が載っている。しかし、「歳のせいで覚えが悪い」というのは「単なる努力不足」、「もの忘れがひどい」のは「単に初めから覚えていない」と厳しいお言葉がならぶ。θ波を増強させるためには刺激の多い環境のほうがいいという。

ちなみに、きょうの題名は慶応大学の鈴木さんから教えてもらった。いい標語だと思う。

2001/1/27
ratio、rate。比、率、比率

price-earnings ratios」(株価を一株当たり利益で割ったもの)が日本語で「株価収益率」ということを知って、少し違和感を感じた。ratioというと、私の頭には「比」という単語が浮かんでくる。「率」といえばrateではないだろうか。もっとも「比率」という言葉もあって、頭が混乱してきた。

たぶん、日本語の「株価収益率」のほうがよくできた名称なのだろう。たとえば「男女比3:2」というとき、男子が3/5で女子が2/5であることは誰にでもわかる。つまり3+2で全体が計算できる。これが比というものだろう。ところが、株価収益率の要素である株価と利益とを足しても意味のある数字にはならない。割り算の結果なのだから、比というよりは割合だ。

上のようなことを、西友で玉子を買った帰りに歩きながら考えていた。しかしよく考えてみると、相似比3:2となると、3+2で全体を計算するといっても「全体」の意味がよくわからなくなる。結局、私はratioという言葉がよくわかっていないのだろう。

2001/1/26
プリンターの結末

秋葉原まで赴いてLaserWriterの修理に立ち会った結果、「今回入れた基盤は故障しており、その結果AppleTalkは通すがTCP/IPは通さないのだろう」という診断がくだった。サブネットもきちんと合わせたのにダメなのだから、不可解ではあるが上の診断をせざるを得ない。結局、基盤を別のものと交換してもらい、プリンターは我が家に返ってきた。

現在、プリンターははむかしと変わらず快調に動作している。もっとも、国立・秋葉原間を往復したためにドラムが少し汚れたようだ。ドラムの清掃を行ないたいのだが、どうやっていいのかわからずにいる。

2001/1/25
バカと知識

小谷野敦『バカのための読書術』(ちくま新書、2001年)を読む。この本における「バカ」とは、抽象的な思考が苦手な者を指す。著者はそういう者たちに対し、歴史を通じて知識を得ることを勧めている。いくつかいいことが書いてあって、たとえば新書が入門書としては必ずしも適切でないという主張には同意できる。(ただし、私自身が大阪出身のためかバカという言葉を書名に冠するのは好みではない。)

私は、歴史を通じて知識を増やすことより技術を体得するほうがバカには向いていると思う。「これからは統計学の時代」(p.80)などとありがたい(けれどあまり信じられない)ホラがあるが、統計学などは歴史から学んでもあまり得るものはないだろう。正規分布の由来を知るよりも正規分布を使って推定できるようになることが重要で、そのためには演習を重ねるよりないというのがバカな私の考えだ。

2001/1/24
安定性を生むもの

Mac OS上で、ある方が作られた検索ソフトを長いこと愛用している。他のソフトも含めればその方の作品にふれて8年ほどになるが、この方のソフトを使っていてMacのシステムが落ちたことは一度もない。それほどに安定している。動作は高速で、消費メモリーも少ない。

なぜそれほど完璧に動作するのかメールでお尋ねしたところ、かつて生産ラインのプログラムを作っていたという返事をいただいた。下手をすると死者が出るような現場ではたらいていると、安定しているのが当然だという認識になるのだそうだ。

2001/1/23
静電気よさらば

そのような体質があるかどうかは不明だが、ともかく冬は体にたまる静電気に悩まされてきた。チクッくらいのかわいいものではなく、バチッと音がするのが他人にも聞こえる。が、今年の冬は静電気に煩わされていない。

新宿の東急ハンズで静電気対策の商品が並んでいるというので、2種類買ってきた。ひとつは静電気を解消するシールで、室内の好きな場所に貼っておける。これが効果抜群だ。もうひとつは静電気を放電するクリップみたいな製品で、こちらは常に携帯できる点がいい。静電気に困っている人には、これらの製品をお薦めしたい。

2001/1/22
『免疫学個人授業』を読む

『生物学個人授業』がおもしろかったので、こんどは多田富雄・南伸坊『免疫学個人授業』(新潮文庫、2001年)を読ませてもらった。こちらもおもしろい。いちばん感心したのは「第11講 寛容ということ」。

自己と非自己とを峻別するいわば不寛容な免疫システムが、非自己に対して例外的に寛容になる場面がある。「生まれた瞬間、生まれる前に経験したこと」や「異物のたんぱく質が非常に微量である時」は、なんとなく思いつきそうだし、納得がいく。しかし「口から入れた時」というのは実に興味深い。牛乳を多量に飲めば、血液にも牛のたんぱく質が溶け込む。牛のたんぱく質を静脈注射するとショック症状が出るのに、なぜ口から入れると抗体ができないのか。考えてみれば、すごく不思議なことだ。

2001/1/21
バッテリー不要論

ノートパソコンの売り文句の中に「長時間連続使用可能」という項目が入っていることがある。たとえばPowerBook G4は、バッテリーだけで5時間もつことを売りの1つにしている。しかしながら、私にしてみれば電池なんて不要だ。

自分のノートPCを都内数カ所に持ち込んで使っているけれど、いずれも室内なので電源には困らない。ACアダプターを持っていくのが面倒だから、あらかじめ出先に据え付けてある。私の使いかたではバッテリーを消費する機会がない。ただオモリを持ち歩いているだけだ。バッテリーをつけるなとは言わないが、停電時に備えるために十分もてば十分で、それ以上はいらない。


2001/1/20
雪を踏む音

新雪を踏みしめて歩いたときに出る音は土鳩の鳴き声に似ている。

2001/1/19
断然Google

いまや検索エンジンといえば、断然「Google」がいい。特に気に入っているのが「キャッシュ」機能で、おかげでリンク切れに腹を立てることがなくなった。「『グーグル』のキャッシュでサイトを復元」(Wired News/Mac News 4 Uを通じて認知)という記事もあって、そういう使い方もあるのかと感心している。

2001/1/18
トーテムポールのたとえ

ポアソン分布の和はポアソン分布に従い、正規分布の和は正規分布に従う――分布のこのような性質を再生性と呼ぶ。小針アキ宏『確率・統計入門』(岩波書店、1973年)のp.118にある注釈が楽しいので、引用する。

非常に背の高いグループたとえば北欧人の身長の分布が正規分布なのはよい.また非常に背の低いグループたとえばピグミー族の身長の分布も正規分布だろう.この二つのグループの分布は当然独立であり,これらをかきまぜて身長の分布を調査したら,やはり正規分布になるのか.ふたこぶラクダのような分布にならないのか.これは自然な疑問であり,陥りやすい誤解である.……(中略)……x+yの分布とは,文字通りxの値とyの値を加えること,たとえば北欧人とピグミー族の身長の例で言えば,北欧人の頭の上にピグミー族がつっ立ったトーテムポール(任意に北欧人とピグミー族を選んでそういう化物を作る)の高さの分布であって,決して二つのグループをかき混ぜた,混成グループの身長の分布ではない.

2001/1/17
カバンをさがす

ふだんは背広を着ていることが多い。真面目だからではない。背広以外にまともな服がないこと、何を着るべきかわからないことが原因だ。中学時代の靴やコートをそのまま身につけていていることに何の疑問も抱かない人間だから、鈴木右大臣(彼は奇数日には右大臣、偶数日には左大臣なのだそうだ。きょうは奇数日だから右大臣)から指摘されるまで、背広にリュックサックは不適切な格好だとは気がつかなかった。

東急ハンズへ行ってきて、リュックサックのかわりになるカバンを探してみた。私が触った感じでは、取っ手の持ちやすさが大事だと思う。プラスチックの硬い取っ手では手が疲れそうだ。取っ手が革で持ちやすいものを発見するが、そういうカバンにはおしなべて3万円台の値札が付いている。それでも、いま使っている1,980円のリュックサックのほうが運搬に便利だと思うけれど。

2001/1/16
コンマのありかた

横書きの日本文で,コンマやピリオドを全角・半角のどちらにするか.私は全角を使っているが,たとえばLaTeXで[0, 1]などとすると,本文と数式とでコンマが一致しなくなる.この点を考慮に入れてか,全部半角で通す御仁もおられる.ただ,CM書体のコンマは日本文には軽すぎる嫌いがある.悩ましいところだ.

写研のシステムによる組版では問題ないのだろうと思いこんでいたのだが,そうでもないようだ.手元にある矢野健太郎・石原繁『基礎解析学』(裳華房,改訂版,1993年)は一目見て写研とわかるが,本文部分と数式部分とでコンマが異なっている.問題が解決されたわけではないのだが,なんだ写研も一緒じゃんと思うと少し気が楽になった.

2001/1/15
スキャナーの評価

CD-RWドライブにくらべ、同時に買ったスキャナー(キヤノンCanoScan N656U)はヒットだった。USB接続でしかも電源供給もUSBから受けるとあって、使うまではかなり不安に感じたのだが、いまのところ不可解な現象は起きていない。USBだから通信速度は知れているが、こちらがスキャンする画像(白黒の線画)の容量も知れている。性能を割り切って考えれば、この薄さと軽さは魅力だ。厚さ3.4cm、目方1.5kgなので、使わないときには本棚に収納でき、仕事場にも軽々と持ち出せる。キャリングバッグを付属させたのも心憎い演出だ。ビックパソコン館新宿東南口店にて10,800円で購入した。

2001/1/14
CD-RWドライブの評価

購入したCD-RWドライブは、メルコのCRWS-SB1210だ。選択基準は、Mac・Windows両方で使える書き込みソフトが付属し、SCSI接続であること。ロジテックのものと比較したが、BURN-Proofを買ってメルコにした。新宿ビックパソコン館東南口店で33,800円。月に1〜2度しか使わないので、それほど真剣に決めたわけではない。

この機械は立て付けが悪い。特に、SCSIケーブルが刺さりにくいのが問題だ。刺そうとするとプラスチックのカバーがたわみ、いざ刺してもカチッと閉まらない。安っぽい機械だと思う。ためしに音楽CDを複製してみたところ、読み込み32倍速、書き込み12倍速で問題なく行なえた。機械の性能には満足している。

満足できないのは書き込みソフトだ。MacCDR 4.1、WinCDR 5.0とも、B's Recorderにくらべて使い勝手が劣る。WinCDRにいたっては、書き込みが行なえない。(Windows 2000では、CD-R側のドライブレターがCD-ROMのそれよりも後でないといけないらしい。その点を修正しても、まだ直らなかった。)もっとも、Windows機にはハードディスクの空き容量があまりないので、CD-Rを使うことはないだろう。

2001/1/13
経済学の本への不満

西村清彦『経済学のための最適化理論入門』(東京大学出版会、1990年)が気に入った。内容は、石村直之先生が基礎経済数学でやろうとしていることと一致している。ちゃんとは読んでいないけれど、ラグランジュ未定乗数法、クーン・タッカー条件、動学最適化(変分法など)を扱っている。東大出版会の本が2割引だったから買ってみたのだけれど、使える本だ。

しかし、一般に日本の経済学の教科書(特にミクロ経済学の教科書)には不満をもっている。演習問題とその解説が少なすぎなくはないだろうか。大学入試まではヤマというほど演習問題があるのに、どうして大学入学後は数が減るのだろう。私のようなアホは、問題を何題か解いてみないと理解が進まない。理学部や工学部では数学に演習という時間があるけれど、経済学部にも設けてほしいと思っているくらいだ。

ヴァリアンの入門教科書には、不満を通り越して笑ってしまった。英語第4版には練習問題があるが、日本語第5版にはない。第5版では削除されたのかと思いきや、そうではない。監訳者まえがきによれば、「原著の名章(注:各章の誤植であろう)末尾の演習問題や数学補論を,訳書では全面的に削除した」(p.v)というのだ。この発言を、ヴァリアン本人の序文「われわれは練習問題を解くことなくしては経済学を修学できないと固く信じているのである」(p.xiii)と比較していただきたい。「Traduttore, traditore」が冗談ではなくなるような例ではないだろうか。

2001/1/12
ベージュのMacとUSBプリンター

私の周囲では、日本HP社のインクジェットプリンターの評価がとても高い。今回は、990cxiをPowerMac G3 266/MT(Mac OS 8.6)+USBカードで使う試みに立ち会った。カード付属のドライバーでは通信不良が起こるが、USB Adapter Card Support 1.4.1をアップルからダウンロードすれば解決する。それにしても、他社販売のカードに対してアップルが純正ドライバーを提供するのは最近では稀なことではないだろうか。

2001/1/11
ふつうの日記

帰省先の近所にある家電でスキャナーが安く販売されているのを知り、1台買ってもいいかなと思うようになる。ドローソフトにはCanvas 7Jを試してみたい気がしたので、新宿のヨドバシカメラに出かけた。ところが、昨年末にはあったCanvasが消えているではないか。ここは気分転換に枝雀落語大全を買うべきか。買うべきだろうなあ。

最近、低級な英語にはまっている。たとえば、スズメがsparrowだとかヒバリがskylarkだとかヒヨドリがbulbulだとか。むかし歌ったマザーグースの「ピーカブー」は「peek a boo」(いないいないばあ)だったとか。なんてことをしているときではないのだが……。


2001/1/10
プリンターは終わらない

下のような経緯で、基盤が交換されたプリンターが我が家に届いた。テスト印刷はOK。EtherTalkでの印刷もOK。だが、lprでの印刷ができない。詳しく調べると、IPアドレスを変更してもデフォルトゲートウェイが「131.112.173.1」(この値から察するに、この基盤は東工大から流れてきたものらしい)から変更できない。そもそも、Apple Printer UtilityではIPアドレスしか設定できない。PRAMクリアみたいなことができないかと基盤を眺めたものの、それらしきボタンは発見できなかった。

2001/1/9
再び声を大にしてビットシステムを宣伝する

修理に出していたプリンターが1月8日に到着する予定だったのに、来ない。雪の影響かと思いつつも事情を尋ねるためにビットシステムに電話をしたところ、意外な真相を知った。故障個所が基盤にまで及んでいて修理代が跳ね上がる(+13万円)ため、修理をせずにいたという。

愛着のある機械なので泣く泣く言い値で修理してもらおうとしていたところ、ビットシステムから助け船が入った。曰く、アップル指定の部品代13万は高すぎる。中古の基盤が社内にあるから、アップルを通すのをやめてはどうか。代金は前回のままでよい、とのこと。アップルには何の愛着も感じていないので、ありがたく申し出を受けた。

2001/1/8
更新再開のお知らせ

先月23日から2週間ちょっと、帰省(大阪府枚方市)のため更新することができませんでした。ふだん使っているm-netは外からまったくアクセスできないので、仮ページで更新をつづけようとしたものの、帰省後しばらくは風邪でダウン。年末に快復して更新再開を試みるも、FTPの穴を開けるのを忘れていました。最後の手段としてsshで接続してオンラインで更新しようとしましたが、Emacsで日本語を表示することができず、断念した次第です。これからは通常通り毎週2回の更新を行ないます。

2000/1/7
MetaPostのために

MetaPostを、「METAFONT」と同じようにlogo10書体で出力しようとしたら、「P」と「S」の字が欠けてしまう。Type1書体に2つの字が入っていない(というより、もともとlogo10にはAEFMNOT以外の文字は入っていない)かららしい。それでは困るという場合には、CTANで「mflogo」を検索してみるとよい。PSの2文字が追加されたlogo10が見つかる。TFMファイルなどもついているが、とりあえずpfbファイルを入れ替えるだけでいいようだ。

2001/1/6
一夫一妻? 一夫多妻?

多くの先進国では一夫一妻制がとられているが、イスラム世界のように一夫多妻制の例もある。実際には、かつて人類は一夫多妻制だったようだ。その根拠とされる点は2つある。まず雌雄の体格差だ。一夫多妻の環境では、1匹の雄が雌を独占するために雄同士の配偶者獲得競争が激しい。結果、雄の体格は雌よりも大きくなる。現代人類では雌:雄=100:110だという。もう1点は雄の体重に占める精巣の重さで、この値も配偶者競争が激しいほど高くなるそうだ。人類の男性は、標準的な一夫一妻制をとる哺乳動物よりも精巣重量比が高いらしい。

さらに応用してみよう。一妻多夫制は、人間だけでなく哺乳類全体でも皆無なのはなぜだろうか。もしそのような制度をとらせる遺伝子があったとすると、一妻多夫では雌同士の雄獲得競争が激しくなり、夫にあぶれる雌が出る。ところで、雌の出産のコストはとても大きい。したがって、そのような遺伝子をもつ種は生存競争に生き残れず、遺伝子は自然淘汰される――というような理解でいいのかな。

2001/1/5
「種の保存」論の嘘

種の保存のために個体が犠牲になることを美徳として語る自然物のテレビ番組を見たことのある人はいないだろうか。たとえばレミングの集団自殺がある。個体数が増えたレミングが集団で崖に飛び込んでいく映像を、私も記憶している。私自身すっかり騙されていたけれど、レミングが種の保存のために自殺しているという点は完全に嘘だ。

まず単純な理屈から考えて、他のために自分を犠牲にするような本能をもつ個体は当たり前だが生存競争に生き残れない。だから、そのような遺伝子が遺伝することはない。レミングの事実は、たまたまその環境では食物を獲得できないような弱い個体が、新たな土地をもとめて集団で移動しているだけだそうだ。崖から落ちるのは偶然だし、崖から落ちたからといって死ぬわけではない。

2001/1/4
社会科学標準モデルを疑う

『進化と人間行動』の第1章では、社会科学標準モデルの再検討が語られる。社会科学標準モデルは、たとえば個人レベルでいえば人間の成長要因は遺伝ではなく経験だというものだ。だが、本当に遺伝的な要因はないのだろうか。現実には、IQなど数多くの性質が遺伝することが示される。この点に関しては、スティーブン・ピンカー『言語を生みだす本能(上・下)』(NHK出版、1995年)や石浦章一『脳内物質が心をつくる』(羊土社、1997年)も参照されたい。

実際、社会科学標準モデルを信じて疑わない社会科学者は少なくないし、それが倫理的には正しい態度かもしれない。遺伝によって知的水準のかなりの部分が決まってしまうという仮説が事実となってしまったら、社会はどのようになるだろうか。「劣等感に悩んでいるんです」という患者に対して「君は劣等『感』に悩む必要などない。事実劣等なんだ」と精神科医が答えるアメリカの漫画を思い出してしまう。

2001/1/3
進化と人間行動

長谷川寿一・長谷川眞理子『進化と人間行動』(東京大学出版会、2000年)を妹の推奨で読む。おもしろい。この本はもともと教養生向けのテキストだそうで、前半では進化生物学を紹介し、後半では個別の進化理論と関連する人間行動とを合わせて解説するかたちになっている。「細胞の代謝のしくみを知らずして器官や個体のしくみを理解しようとするのは,無謀なことです.それと同様に,進化の基本理論を知らずして人間の行動や心理を解明しようとするのは,現代の進化生物学の視点からすれば無謀なことでしょう」。

とりあえず押さえておくべきことは、「進化」の定義と含意だろう。進化とは、「集団中の遺伝子頻度が時間とともに変化すること」である。進化の単位は「遺伝子」だというのが重要な点で、自然淘汰というのは固体や集団の淘汰ではない。利己的遺伝子というのも誤解を与えやすい名前で、その意味は「より多くの複製を残したDNAほど集団中に増えていく」というていどの比喩でしかない。当たり前だが、DNAに意思はないのだ。また、「進化」は単なる「変化」であり「進歩」を意味しないことにも注意したい。これからしばらくは、丸谷才一にならってこの本をネタ本として使うことにしよう。

2001/1/2
ドラクエVII

ドラクエVIIをちょっとだけやってみました。クリアした経験があるのはIIIまでです。IVはかなりやりましたが、V以降はほとんど手をつけていません。そのような者からすれば、VIIはもう驚愕の世界に映りました。はたから見ていると物語もよく練られているようだし、たしかに過去最高の傑作だと思います。やりだすとハマってしまうのが明らかなので、手を出すのをやめました。

2001/1/1
テープ起こしの方法

古川さんは月に1度「ミネルバの会」を開いている。講演を聴きながら朝食を食べるという趣旨で、このまえは12月20日に行なわれた。今回の講師は船橋洋一氏、演題は「米新政権と日本:何が変わるのか」だった。当日の受付とテープ起こしとが私の仕事だ。

あいにく私にはテープ起こしの経験が数回しかないので、ほとんど手探りでやっている。それでも、会に出ていなかった人に講演の内容を伝えるという目的が達成できるように、日本語として意味の通じるものにしたいとは思う。そこで、次のような手順でテープ起こしを行なうことにしている。

  1. 通しでテープを聴く。話題の塊がいくつあるかを調べ、メモしておく。
  2. テープの内容をひたすら打ち込む。誤変換は気にしない。親指シフトキーボードでないと、リアルタイムの打鍵は難しいかもしれない。
  3. 話の流れの見取り図を作成する。話はあちこちに飛ぶのが常なので、関連性のある話題をつなげていく。
  4. 見取り図に合わせて、草稿を見ながら文章を書く。固有名詞などで不明なところがあれば、★印をつけておく。(この案は木村泉先生の『ワープロ作文技術』から拝借したもの。)
  5. インターネットや各種文献で★印の疑問を解消し、全体を見直しする。誰かに見せて読んでもらい、おかしいところを手直しする。

上のような手順を踏めば、それほど支離滅裂なテープ起こしにはならないと思う。今回はプリンターがなかったのが辛かったが、同じようにした。幸運だったのは、内容がおもしろかったので楽しく作業できた点だ。公開するのははばかられますから、船橋洋一氏の講演に興味のある方はnabesin@10days.orgまでメールをお送りください。